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伝説の喫茶店 出町柳 「ほんやら洞」 ~  個人的思い出に浸る - 2012.03.30 Fri

京都の短大生だった2年間、通えない距離でもなかったのに、
親に無理を言って、下宿生活を送りました。
振り返っても、わずか2年間ながら、あれほどに濃密な充実した2年間は無かったと思います。

京都は学生の街ですから、全国から若者が集まって来ます。
自分の大学だけではなく、様々な出会いと別れがありました。
もう30年以上も前の事なので、私的な思い出話を綴ろうと思います。



京都の学生になったら、絶対に行ってみたい所のひとつが、
「ほんやら洞」でした。
私が京都を離れてから、西陣や東京の国分寺にも支店が出来たようですが、
当時、出町柳の「ほんやら洞」と言えば、文学・音楽などの文化の発信拠点のような、
カリスマのような喫茶店でした。

晴れて京都の大学生になった、4月。
ドキドキしながら、ひとりで店に入り、壁側の席に座り、文庫本を呼んでいた18才の私。
しばらくすると、私の右隣のテーブルに座って、やはり文庫本を呼んでいた男子学生が、
「何、読んでるの?」って話しかけて来た。

その時自分が何を読んでいたのか、全く覚えていないけど、
彼が読んでいたのは、はっきりと覚えている。

「僕は、 「林檎の樹」。 ゴールズワージーの。 知ってる?」
「知らない」と答えると、彼は詳細にその小説を語ってくれた。

阪神間の小さな町の公立高校と言う、限られた世界で生きてきた私には、
彼の佇まいや、語りがとても大人びて感じられて、
それは出会った事のない種類の人間のようにも思えた。
京都で学生生活をすると言う事の期待が、見事に花開いたような瞬間だったかもしれない。

「御所へ行こう」って、T君は言った。
私たちは「ほんやら洞」を出て、京都御苑に向かった。
それから、交際が始まった。
「ほんやら洞」は二人の待ち合わせの場所になった。


「学生運動」が盛んだったのは、団塊の世代で、
私たちより、お兄さん、お姉さんの世代だ。
だから当時の学生街は、闘争などとは無縁のような、のどかさだった。

でも、一、二回、ヘルメットをかぶり、デモをする学生の集団を見かけたことがある。
人数にして、せいぜい20人いるか、いないか。
誰も、彼らには無関心で、もしかしたら、
「何をいまさら」と軽蔑さえしていたかもしれない。

T君がその、闘争集団の残党であると知るのに時間はかからなかった。
彼は、学生が自治する寮に住んでおり、
その寮は「闘争」のメッカのような場所であったらしい。

最初の頃は自分の思想を熱く語る彼に、純粋な心と、知性を感じたりもしたけれど、
だんだんと一緒に居るのが、辛くなってきた。

彼らの理想とするものが、何なのか解らない。
頭でっかちなだけで、実際にやっている事は、
男子寮でありながら、家出して来た少女達を住まわせたり、
電気も水道も使い放題、お酒を飲んで、夜中じゅう騒いだり。。
身勝手な論理を振りかざしているだけの子供に思えて来た。

重すぎて、付いていけなくて、私たちは1年後に別れた。
卒業して実家に戻り、1年くらい経ったある日、突然T君から電話が入った。

「大学を中退して、肉体労働をしている。」

それっきり。  もう消息は解らない。

時代が違えば、彼は普通に大学を卒業し、それなりの企業に就職し、
今頃は、そこそこの地位を得ていたのではないだろうか。

彼が望んだもの、理想とする世界とは何だったのだろう。
この日本では、それを手に入れる事は出来なかっただろう。
彼は自分が選んだ道を、今どういう想いで振り返っているのだろうか。


去年の春、ひとり娘が偶然にも
T君と同じ大学に進学する事が決まった。

私は入学前に娘を連れて「ほんやら洞」に行きたくなった。
30年以上、訪れてはいない。

河原町今出川周辺はさすがに様変わりしていたけど、
このあたりだったはず。。と見つけた「ほんやら洞」は、
驚くぐらいに何も変わってはいなかった。
中に入ると、当時のままの佇まいが、そこにはあった。
本当に、驚きだった。

テーブルを挟んで座る娘を見ていると、涙が出そうになった。
彼女には言わなかったけど、
あなたが座っているその席に、あなたと同じ18才の母も座っていた。
右隣のテーブルでT君が、「林檎の樹」を読んでいたんだよって。


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非公開コメントを下さったSさんへ

コメントありがとうございます!

童子は83年に引退宣言をする事もなく、活動を休止しましたね。
私はLPの時代、繰り返し聴きました。

ドラマ「高校教師」見ていましたよ。
テーマ曲に「ぼくたちの失敗」が使われて、ブレークしましたね。
あの繊細な世界観は独特で、誰にも真似の出来ないものでしょう。

「ほんやら洞」 外からは、少し入りにくい印象がありますが、
入ってしまうと、どうって事ないです。
私の私的な青春時代の思い出話に付き合ってくれて、ありがとう!

又、あの方のお喋りもしましょうね。(^^)


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プロフィール

rui ☆

Author:rui ☆
兵庫県在住。

天然石をメインにしたアクセサリー作りをしています。
装飾の為と言うよりは、
身に付けて、ココロが穏やかになれるような。。
そんな物作りがしたいです。

トップ画面の画像は、宝塚・武田尾の
JR廃線後です。
トンネルを抜けた向こうに希望がある事を信じて。



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